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賃貸物件のトラブル事例

【不動産トラブル事例】賃貸物件の媒介で抵当権の調査を怠った事例

媒介業者が、賃貸物件の媒介時に登記簿上にある抵当権を調査しなかったため、後日、賃貸借人から「裁判所の執行官の来訪を受け、いずれ出て行かなければならないかも知れないと言われ不安であると損害賠償請求を受けた事例

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紛争内容

①媒介業者Yは、かつて媒介した賃貸アパートの賃借人Xから、裁判所の執行官の来訪を受け、「競落されればいずれ出て行かなければならないかも知れないと言われ、安心して住むことができない」との理由で、引越し代と媒介手数料の返還を求められた。

②媒介業者Yはそれに応じないでいたところ、賃借人Xは行政指導課に苦情を申し立てるといってきた。

③媒介業者Yは賃貸人Aとの間の長い取引実績から、いわば馴れ合い的に賃貸借契約の直前の登記を確認せず、重要事項説明書も登記に関す記載欄のない自己流の様式を用いていた。

④その物件にはAとX間の本物件賃貸借契約の凍結前から抵当権が設定されていたが、現時点では競売手続きが始まっただけで、競売手続きが完了していない。

紛争関係図

<賃貸アパート>
賃貸借契約におけるトラブル事例

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各当事者の言い分

【賃借人Xの言い分】
裁判所の執行官から「競落されればいずれ出て行かなければならないかも知れないと言われ、安心して住むことができない」と言われ、安心して住むことができないので転居したい。

抵当権の調査もしていないのは、そもそも宅建業法違反と聞いたので、引越し代と媒介手数料の賠償・返還を求めたい。もし応じてくれない場合、行政の指導課に訴えるつもりである。

【媒介業者Yの言い分】
抵当権の調査をしなかったのは事実だが、現在、抵当権が設定されていない抵当権が設定されていない賃貸物権は皆無に近いし、しかも現時点で明け渡しを求められている訳でもないのだから賃借人Xに損害はないはずである。

本事例の問題点

①賃貸借物件の媒介に当たって建物登記簿の内容も重要事項説明の対象であり、媒介業者Yが登記簿も調査せず抵当権の有無についても重要事項説明をしていなかったとすると、それだけで業法第35条違反として業法第65条により、一年以内の一部、あるいは全部の業務停止処分にかせられることがある。

②しかし、これにより媒介業者が民事上の責任も負うことになるのか否か。

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本事例の結末

媒介業者Yの抵当権の未調査と賃借人Xの引越し意向との間に民事上の因果関係を認めるべきかが極めて疑問であるが、重要事項説明で抵当権の有無について説明していなかったとすると、賃借人Xに行政庁に苦情の相談された場合には、行政指導を覚悟せざる得ないことから、結局賃借人Xの要求をのむことにした。

本事例に学ぶこと

①ローンの普及に伴い、賃貸物件に抵当権が設定されていることは通常のことであり、「短期賃貸借の保証制度」が廃止された現在では、抵当権に後れる賃借権は、その期間の長短にかかわらず、抵当権者および競売における買受人に対抗することができないことを明記すべきである。

ただし、その建物を競売手続きの開始前から使用、または収益をしていた賃借人は、その建物の競売における買受人の買受の時から6ヶ月間は賃貸借物件を引き渡すことをゆうよされることになっているので留意が必要である。

②なお「差押登記(さしおさえのとうき)」の事実を看過して媒介をした場合、概に競売手続きが進んでいるので、競落人が現われれば借主は引き渡し命令で追い出されてしまうことになる。その場合の媒介業者の責任は民事上も極めて重く、損害賠償が認められた事例もある。

また、代位弁済により保証会社に抵当権が移転している場合や、債権譲渡に伴い「債権回収機構」に抵当権が移転している場合は、近々抵当権が実行される兆しであるので、保証会社や債権回収機構と話合いの結果、抵当権が抹消されるような場合意外は、差し押さえ物件と同様に媒介は控えるべきである。

すなわち、これらは概に保証会社が取引先に代わって銀行に債務弁済をしている状況であり、あるいは債権回収機構が金融機関から債権を買い取って債務の回収に着手しているという状況であることから、近々競売手続が始まることを意味しているので留意しなければならない。

 

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