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根抵当権

【不動産トラブル事例】根抵当権の調査を怠ったため調査義務違反により債務不履行責任が認められた事例

媒介業者が、土地建物売買の媒介に当たって、土地の権利関係についての登記簿の調査を怠り、調査説明義務違反があったとして債務不履行責任が認められた事例

東京地裁・判決 H8.7.12 判例タイムズより

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紛争内容

①買主Xは、媒介業者Yに土地建物の購入の媒介依頼をした。

買主Xは、Yの媒介で、平成1年4月3日、土地の売主であり、かつ、建物建築の請負人であるA(売主権請負人A)との間で、土地売買契約と建築物建築請負契約を締結した。

本件土地の売買代金は600万円、本件建物の請負代金は180万円であった。

(注)なお、本売買契約は、本件土地の登記名義がCであり、売主Aの所有に属しない土地の売買契約であり、いわゆる他人物売買であった。

②買主Xは、売主権請負人Aに対し、直接次の代金を支払った。

  • 4月3日  土地の手付金  30万円
  • 6月26日 土地の残代金 570万円
  • 7月19日 建物代金内金 500万円
  • 10月11日 建物残代金  680万円

買主Xは媒介業者Yに対し、同年11月20日媒介報酬の全額を支払った。

③その後、買主Xは、同年11月8日頃、本件土地建物に引っ越して居住した。
翌年2月、Xは売主兼請負人Aから本件土地建物の権利証を受け取った。

④買主Xは、H7年1月に本件土地の登記簿謄本を見て、次の根抵当権設定登記の存在を初めて知って驚いた。

  • 登記受付日: 平成元年 7月4日
  • 極度額: 金900万円
  • 債権の範囲: 金銭消費貸借取引・手形債権・小切手債権
  • 根抵当権者: B
  • 債権者: A

Xは、根抵当権者Bを相手取って、根抵当権設定登記の抹消を求めて提訴したが、敗訴した。

⑤売主兼請負人Aは、第三者に転売する目的で元売主C(訴外)から不動産を購入する際、根抵当権者Bから購入代金の融資を受け、購入した不動産に、Bのために根抵当権を設定して根抵当権の登記をし、当該不動産を第三者に転売する際、転売代金から借入金を返済して、その抵当権設定登記を抹消するという方法をとっていた。

本件土地も同様の方法により購入したが、Aは、Bへの本件土地の購入資金の返済を終えないうちに、H5年、不渡り手形を出して倒産した。

売主兼請負人AのBに対する借入債務は約2000万円に達する。

⑥媒介業者Yは、本件土地の登記の簿閲覧を土地代金決済時にしておらず、また、その後の建物算代金を市はあったときに登記簿の閲覧をし、Bの根抵当権が設定されていることを知ったにもかかわらず、これを買主に告知しなかった。

紛争関係図

<土地:売買、建物:建築請負>
根抵当権の調査を怠った事例

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各当事者の言い分

【買主Xの言い分】
①媒介業者Yが宅建業者として当然なすべき登記簿の閲覧等の調査義務を尽くして、買主Xへ根抵当権の設定登記がなされている旨を説明していれば、登記の後にAに支払った代金を支払わずに済んだ。

②Yha宅建業者として、媒介の依頼者であるXに対して真偽則上要求される調査義務に違反している。

③Xは、根抵当権の限度額900万円の損害を被った(BとXとの間で別訴、敗訴)としてYに損害賠償を求める。

【媒介業者Yの言い分】
買主Xは媒介業者であるYと連絡もしないで、売主兼請負人Aに対して、代金を支払った過失がある。

本事例の問題点

①媒介業者が売買の対象物件の登記簿を閲覧しなかったことは、媒介依頼者に対し、宅建業者として真偽則上要求される調査説明義務に違反したといえるのか。

②義務違反があったときは、媒介業者はどこまで賠償責任を負うのか。
(注)なお、本事案の建築条件付土地の売買であるが、媒介業者Yは媒介報酬として土地と建物に対して受領していることに関し、裁判での審議はされない。

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本事例の結末

判決は、媒介業者Yが配慮すべき注意義務を果たしていなかったとしつつ、買主Xにも相殺されるべき過失があるとして、損害賠償請求額の5割相当額である450万円を認めた。

その旨は以下のとおりである。

①宅建業者は、不動産の売買等の取引に関し、専門知識を有する者として信頼され、これらの業者の介入によって取引に過誤のないことを期待されうものであって、委託を受けた相手方に対し、準委任関係に立ち、善良な管理者として、目的不動産の歌詞、権利者の真偽等につき格段の注意を持って取引上の過誤による不測の損害を生じさせないように配慮すべき高度な注意義務がある。

②買主Xから媒介依頼を受けた媒介業者Yとしては、本件土地建物について、買主Xが損保等の負担のない完全な所有権を取得することができるように、遅くとも、本件土地の売買代金の決済日であるH1年6月26日までには、登記簿を閲覧するなどして権利関係の調査を果たすべき義務があったといえる。

仮に、Yが本件土地の登記簿を閲覧していれば、本件と地の所有名義が売主Aではなく、別の訴外C(元の所有者)であることが判明したはずである。

Yは、Xが完全な所有権を確実に取得することができるように、Xへの所有権移転登記手続きやXからAへの残代金の支払において注意すべきことなどをXに助言することができ、また、そのようにすべきであったといえる。

③ところが、媒介業者Yは本件土地の登記簿の閲覧を全く行っていなかった。
Yは委託であるXに対し、委任受託業者として求められる目的不動産の瑕疵、権利者の真偽等につき格段の注意を持って取引上の過誤による不測の損害を生じさせないように配慮すべき義務を果たしていなかったものと認定できる。

④本件土地の根抵当権設定登記は極度額900万円であり、被担保債権金額が焼く2000万であることから、買主Xは900万円の損害を受けているといえる。

しかし、Xha、売主兼請負人Aをあまりにもうかつに信じ、所有権移転登記等を確認せずに売買の残金、その後建築物の代金を支払っており、過失を相殺されるべき落ち度があるといわざるを得ず、過失の割合は買主X5割、媒介業者5割であるといえる。

⑤よって買主Xの被った損害は450万円と認める。

本事例に学ぶこと

①媒介の依頼は準委任関係(民法第656条・第644条)の受任者の全管注意義務

②業法31条第1項「宅地建物取引業者は、取引の関係者に対して、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない。

③不動産の媒介契約は準委任契約であり、かつ、媒介業者は専門的な知識と経験を基礎とし、宅建免許を受けて素人から当該事務の委託を受けることを業としている。

④媒介業者は、本事案のような他人物売買、建築条件付土地の売買、根抵当権付き不動産の取引に当たっては、的確な調査をし、買主に十分な説明を行い、取引を誤りなくリードする役割を担う必要がある。

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