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調査不備の事例図

【不動産トラブル事例】媒介業者が土地売買の仲介にあたって売主の調査を怠ったための賠償事例

※紛争事例 売主の売却権限等の調査と説明を怠ったケース

千葉地裁・判決 平成12年11月30日 判例寺宝1749号96頁

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紛争内容

①Aは有名な芸術家Bが所有していた土地について、Bの登記申請委任状と印鑑証明書を偽造した。

H8年3月にBからAへ所有権移転登記手続(原因:贈与 平成7年12月22日)を行い、4月にAから所有権移転手続(原因:売買)を行った。

②宅建業者Cは、本件の土地を3筆に分筆して、その売却を宅建業者Y1に依頼した。

③買主X1は平成8年4月に一筆の土地(イ土地)を買主X2は6月に一筆の土地(ロ土地)をそれぞれ媒介業者Y1より売主Cから買い受けて、所有権移転登記手続きを完了した。

④ところが!芸術家BはH8年1月に死亡しており、その相続人はこの土地についての贈与を原因とする所有権移転登記はBに無断でされた門であるとし、Aや買主X1、X2(以下、Xらとする)に対し所有権移転登記の抹消を求める訴訟を起こした(同年7月)

H9年2月に勝訴判決によりXらへの所有権移転登記は抹消された。

そこでXらは、H9年4月、党機関が所有権移転登記申請に添付されていた偽造の印鑑証明書を看過して登記を実行された結果、売買代金相当額の損害をこうむったとして、媒介業者Y1およびY2に対して損害賠償請求をすると共に、国に対しても国家賠償を請求した。

紛争関係図

<土地>
紛争関係図5

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当事者の言い分

【買主Xらの言い分】
媒介業者Y1は、芸術家Bの遺族に確認するなどして、本件の土地の所有権移転の確実性を調査・確認し、調査結果によっては買主の募集中止、売買契約の危険性をXらに助言すべき義務があったのにもかかわらず、それを怠った。

【媒介業者Y1の言い分】
登記簿上、所有者となっている売主から売買を仲介する場合は、前登記名義人と売主間の所有権移転が実際に行われたかどうかまで調査確認する義務はない。

問題点

媒介業者は、不動産売買等を仲介するにあたり、売る主と称するものが売買権限を有する真の所有者かどうかについても調査する義務がある。しかし前登記名義人にまでさかのぼって調査する義務はあるかどうか?

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事例の結末

判決は、買主Xらの主張を認め、売価業者Y1に対し、売買代金と弁護士費用相当額を損害賠償額として支払うことを命じた。また国に対しても賠償責任があるとした。

その要旨は以下のとおりである。

①媒介業者Y1は、売買物件につき、売主が真実の物件所有者であるか否かの確認する義務を有する。

通常、媒介業者は媒介にあたり売主が登記簿上の所有者として登記されているか。

登記済み証明書を所有しているか否かを確認すれば足りるが、所有権者として登記されていることについて、疑問を抱かせるような事情がある場合、その所有権取得の経緯について調査をし、その売主への権利の帰属が間違いないか否かを確認するとともに、その確認が十分にできない場合は、売買の媒介を中止したり、その売買の危険性について注意・助言すべき義務がある。

②媒介業者Y1の代表者Y2は、本件土地を持ち込んだAから、「前所有者Bが有名な芸術家であり、自分はBから贈与を受けたものである」との説明を受けたが、Aはその3年以前に会社を倒産させており、Y1の代表者Y2に対して生活が大変だとして3000万円の貸与を求めるなどの事情の下では、Aが全く担保権などの負担のない、しかも相当な値段で速やかに買い手がつくような本件土地を所有していることについて、当然に疑念を抱いてしかるべき状況であった。

③にもかかわらず、媒介業者Y1は、本件土地のAへの所有権の帰属について確認をせず、かつ、本件土地取得についての疑問とそれに伴う取引の危険性を買主Xらに告知しないまま媒介行為を進め、契約を締結させたものであるから、不動産取引の媒介をするにあたって、専門家として必要とされる注意義務を欠いたとして、買主Xらの主張する祖運外賠償として売買代金と媒介補修等を賠償を認めた。

④一方、国に対してはAがBから贈与を受けたとする所有権移転登記申請書は、Aが偽造したB名義の登記申請委任状によるもので、これを受理した登記官は、提出されたBの印鑑証明書にはコピーされたことを示す「複写」の文字がはっきりと浮き出ており、また、作成年月日があり得ない日のH8年4月98日を表示していたのであるから、この証明書を発行した○○区長にその真偽を確かめるべきであるのに、これを怠って申請を正当として登記したもので、登記官としての職務遂行に過失があり、国に賠償責任があると判示した。

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